「  だ  る  ま  さ  ん  」






「……さて、どうするか…」


目の前に横たわる、意識のない少年。

どう見ても、小さな子供にしか見えないが、

サタン、彼にとっては圧迫感を感じる。これがメシアの力なのか。

「…そんな彼でも、手の内…」

そんな自分を圧迫させるようなヤツが自分の手の内にあるのだ。

これを笑わずとして何をしよう?

「お前は負けたんだ」

髪を掴み、顔をこちらへ向かせる。

返事はない。意識がないのだから。

「お前は、負けた、んだ」

もう一度、はっきりといってやる。

そう、彼に言うことで、征服感を感じる。




「お前のようなやつには、もう手足はいらんだろう」




にやり、笑う、覆面のした。

自らのこぎりを取り出し、まずは右足を、少しだけ腰で座れる感じに斬り始めた。

途端、彼に意識が戻り、



叫びが館を覆った。



「痛いか?痛いか?」


ククク。そう彼は笑う。それでものこぎりの手は休めない。

骨までいくと、刃がぼろぼろになっていた。

新しいのを取り出して、また斬り始める。

メシアはそれに叫び、悶えるが、泣きはしなかった。

それが、嗜虐心をそそるとは知らず、涙は見せまいと思った。

ただ、口から涎が伝うのが鬱陶しく思った。

それらを繰り返して、手足のない、人形が完成した。

人形はぎらぎらとした目で、サタンを見る。

まだ諦めてはいない、そう告げているように彼は思えた。

それがイライラとさせて、彼はビンタした。

体がおもちゃのように、ごろんと横に転がる。

刹那、走る激痛。

痛みは終わりを迎えていない。どこまでも痛みは走り続ける。

「君の肉は相当美味いと見える。メシアの肉…最上級だ」

そういいつつ、転がる手足を、眺め、フと笑う。

「遊びをしようじゃないか」

サタンは含み笑いをしながら、提案した。



だるまさんが転んだ。

あれは手足のない人を動かして、遊ぶゲームだ。

こっちへおいで、こっちへおいで、と。



「だるまさんが転んだ」

誰が動くものかと言わんばかりに、強い双眸で睨み、

サタンの言葉どおりには動かない。

いや、動けないのかもしれない。あまりの痛さに。

そうすると、サタンは魔法を使った。

背後に、ヘビを出し、威嚇させる。

動かない限り、迫る、そういうことを意味させてる。

メシアは仕方なく、腰をずらせるように移動させる。

途端、走る激痛。

叫ぶ。涎が垂れる。涙が少し出る。

その涙は何故か、冷たかった。


だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。



だるまさんが転んだ。





だるま さん が 転んだ









※サタンに負けて捕らえられてると思ってください
※こんなんありえない、とか思っても、それは心の中で止めてください。



カジサワ アツシ様より寄与


('03.12.03)